欧州中央銀行(ECB)ドラギ総裁は「ECBは仮想通貨に対していかなる権限も有していない」と発言し、仮想通貨への慎重な姿勢を示しました。
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欧州の仮想通貨に関する姿勢
同発言は欧州議会の金融問題委員会中のものであり、ドラギ総裁は主要な声明の中で仮想通貨へは言及しませんでしたが、中国でのICO及び取引全停止、日本やメキシコ等の諸外国の姿勢を受け、委員会のメンバーにECBの指針を求められた形で発言しました。
ドラギ総裁はECBが未だに仮想通貨に対して議論を行っていないことを強調しました。一方で、仮想通貨のリスクを検証することになれば、ECBは他のフィンテックと同様のアプローチをとる、とも話しています。つまり規模や用途、EU経済圏への影響を十分に検討した上で判断を下すようです。
また、ECBがビットコインに対していかなる強制力も持っていないと発言しています。
Certainly it’s not within our powers to prohibit or to do something of the nature…or to regulate” bitcoin,” he said, “but we didn’t have a discussion on an institutional view of” cryptocurrency.
さらに仮想通貨がECBにとって脅威との見方を示し、他のFinTechもサイバー攻撃の可能性のリスクを抱えていると発言しました。このコメントは、欧州議会によって提案されているpan-European Cybersecurity Agencyの発足を後押しするものとなりそうです。
各国の対応方針
ドラギ総裁は明確な指針を示すことを避けましたが、膨張する仮想通貨の市場に対して各国の政府は明確な姿勢を打ち出しています。中国は既にICO及び取引の全面禁止措置をとり徹底的に排除に向けて動いています。日本は仮想通貨技術及び金融システムに歩み寄る姿勢を見せており、同技術を使うスタートアップ企業を支援する動きも生まれています。メキシコでも法整備を進めており、同国のFinTechが健全に成長するための足場作りを行っています。マレーシアでは、自国での健全な普及のために法や各種規制の準備を進めていると発表しています。
おわりに
各国見事にバラバラな対応ですね。2017年に入り世界中に爆発的な広がりを見せた仮想通貨、その性質上単一の国家で管理することは不可能なため、慎重な姿勢をとるのも当然かもしれません。幸いにも日本では仮想通貨に対して政府は一定の理解を示しています。革新的なサービスが日本で生まれれば、仮想通貨で世界をリードすることができるかもしれません。