中国で仮想通貨の取引再開を検討

中国政府は、マネーロンダリング防止法(AML)と顧客確認(KYC)を盛り込んだ上で、数カ月中に暗号通貨の取引を再開する可能性が高いようです。

今週のはじめ、中国の国営ニュースである新華社通信は、政府はビットコインなどの仮想通貨を取り巻く犯罪行為に懸念を示していると報じました。地下経済において仮想通貨は最も使用される決済手段となっており、政府はライセンス制とAML防止を導入し市場を管理するための適切な措置を講じることを強調しました。

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中国にとってメリットになり得ない禁止措置

2017年9月に中国政府及び金融機関は、中国全土での仮想通貨の取引を禁止しました。その結果ビットコインの価格は$3000まで落ち込み、市場は大きな影響を受けました。

以降仮想通貨市場は中国主導ではなく、日本や韓国の市場が中心になっています。すでに日本政府は2017年10月に入り11の取引所を正式な業者として登録していますよね。その結果、ビットコインの価格は$4000を超えるまで回復しました。

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一方中国では、取引禁止によって店頭での取引やP2Pの個人間取引が増加しています。これらの取引では、中国政府の管理外での仮想通貨と中国元の交換が出来てしまいます。

規制に意味がないP2Pネットワーク

禁止する以前は、BTCC、OKCoin、Huboiなどの管理下にある取引所が存在していたため、それぞれの企業が設定したKYCやAMLを通じて中国人民銀行によってほとんどの仮想通貨取引が管理されていました。しかし今ではほとんどの取引は地方当局の監視の届かない市場で取引され、規制が行き届いていません。

日本と同様のライセンス制

新華社は、日本と同様に契約者情報登録とライセンス制を採用する可能性があるとしています。中国の仮想通貨メディアのCnLedgerも以下のように報じています。

中国政府の公的見解:仮想通貨は地下経済の最適な決済手段になっている。政府はこれらの犯罪行為に対して、「徹底した取締り」を行い、実名制、高額取引の制限、記録保管、AML対策、登録制などの対策を講じる。

中国政府が仮想通貨絡みの犯罪に「徹底した取締り」を行うためには、政府が全ての支払いとユーザーの個人情報を管理する基盤が必要になります。KYCとAMLがなければ、店頭での取引に見られるように、現実的に「徹底した取締り」を行うことは事実上不可能です。

取引所停止は一時的措置になる可能性がある

新華社通信によると、今回の取引禁止は、政府が厳格な記録管理や登録制度及びAML方針を打ち出すまでの一時的な措置の可能性があるとのこと。

香港などの海外取引所の専門家や幹部が明らかにしたところによると、仮想通貨取引の禁止は、中国投資家の仮想通貨への投資の抑制にはなっていないようです。TideBitの親会社のTideiSunのCOO、Terence Tsangは以下のようにコメントしています。

今回の禁止は仮想通貨取引を止めることはできない。この数週間で、本土(中国)の顧客がTideBit(香港の仮想通貨取引所)に口座を次々と開設している。彼ら仮想通貨熱は全く冷めていない。仮想通貨を買うために多くの人が香港やシンガポールにやって来る。

やはり中国の規制は一時的なものだという見方が強いですね。日本のルールを導入しようとしているあたり、仮想通貨への理解においては日本の方が進んでいるという見方も出来なくはないですね。中国が取引を再開することによって、仮想通貨市場のシェアはまた大きく変動していくのでしょう。まだまだ投機的目的のために購入する人が多い仮想通貨ですが、一般に持つ人が増えることで、様々なサービスの展開に繋がっていくかもしれませんね。

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