価格の高騰や相次ぐICOなど盛り上がりを見せる仮想通貨業界ですが、ポジティブなニュースばかりではないようです。韓国政府は、北朝鮮のハッカーが韓国の仮想通貨取引所をターゲットにし不正に仮想通貨を取得しようとしていると発表しました。
北朝鮮によるサイバー犯罪
韓国警察は北朝鮮のハッカーが関与する一連のサイバー犯罪に関する詳細な調査内容を明らかにしました。サイバー攻撃対策ソフトを提供するFireEye社も、北朝鮮は韓国の仮想通貨取引所からのビットコインの奪取を指示しているとレポートしています。現在北朝鮮は核やミサイル攻撃によって国連や各国から制裁を受けており、経済的に困窮しています。「各国からの金融制裁から逃れ、国家に資金を入れるために、北朝鮮は仮想通貨を入手しようとしている」とFireEyeは報告しています。
スピアフィッシング
韓国警察は北朝鮮からのスピアフィッシング(特定のターゲットに向けて重要なデータや個人情報を奪おうとする手口)が試みられていたことを認めています。2017年7月から、韓国国内4つの仮想通貨取引所の25人の従業員に対して少なくとも10回のフィッシング攻撃が仕掛けられ、従業員に対してログイン認証情報の送信を求めるメールが送信されました。韓国警察はこれらの攻撃は全て失敗に終わったとして、ビットコインやその他仮想通貨は一切影響を受けていないと付け加えました。また、今回のフィッシング攻撃に使われたメールは全て北朝鮮の同一のIPから送信されており、ソウルをターゲットにした別のハッキングにも関わっているとされています。
Bithumbがハッキングを受けた
韓国のサイバーセキュリティ会社によると、北朝鮮のハッカーは2013-2015年の間に毎月約900万円を奪取し、法定通貨への交換を行っていたとのこと。今回の警察の発表は、韓国最大の仮想通貨取引所Bithumbがハッキングを受けたことに対してなされました。Bithumbはフィッシング攻撃により約31,000人分の顧客データが流出し、顧客の口座から1億ウォンにも上る被害を受けています。
おわりに
ミサイル攻撃で世界を混乱させる北朝鮮、経済的に追い詰められている様子がみて取れますね。世界中にいとも簡単資産を移動させられる仮想通貨、それを扱う取引所にはより一層のセキュリティの向上が求められることになりそうです。